金属アレルギーの方必見!金属アレルギーガイド

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サージカルステンレスは
金属アレルギーの強い味方になるのか?

なぜ金属アレルギーが起きるの?
─ 仕組みと金属の種

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私たちの生活は、多数の金属に囲まれています。時計や装飾品などのアクセサリーや食器だけでなく、食品にも微量元素として入っています。
なかでもアクセサリーとしてピアスやネックレスを身につける方が多いのですが、金属によるアレルギー、主に接触性皮膚炎に悩む方が増えてきています。

今までに、ニッケル・クロム・水銀・パラジウム・コバルトによるアレルギーがわかっています。また歯科用インプラントや骨折の治療で使う金属プレートのチタンも錆びにくく、人間の体となじみやすい(生体親和性が良い)とされていますが、以前金属アレルギーをおこした方の中には、インプラントを入れる事で再度アレルギーを起こされる方がおられます。体になじみが良いとされるはずなのに、どうしてでしょうか。

アレルギーには、いくつかの種類があります。その中で、金属アレルギーは㈿型(遅延型)アレルギーという種類に入ります。金属から溶け出した金属イオン(ハプテンといいます)が、人が本来持っているタンパク質と結合し、アレルゲンとなるタンパク質へと変質させる(感作といいます)ことで、アレルギー症状が現れます。金属を接触する部分だけにアレルギー症状が出ることもあれば、金属イオンが全身に血液にのって広がり、接触している部位とは別の場所に、もしくは全身性にアレルギー症状が出ることがあります。
また、このアレルゲンとなったタンパクの情報は、免疫機能が異物として記憶します。しかも、一度金属アレルギーを起こした方は、同じ金属だけでなく、違う種類の金属によってもアレルギー症状が現れる可能性があります。
金属を除去することで、アレルギーがおさまる、もしくは軽くなる可能性がありますが免疫機能が覚えていますので、後日また金属に触れることによってアレルギーが現れる可能性は十分あります。

身の回りにある金属で、アレルギーを起こしにくそうな金属として、ステンレスとチタンが挙げられます。ステンレスは鉄にクロムを10.5%以上添加することで、耐食性を向上させた合金です。食品用容器や調理器具、医療器具に多用されています。ステンレスは日本工業規格(JIS規格)によってクロム、マンガン、ニッケルの含有量だけが決まっています。また、実際に使用してどれだけの金属が溶け出てくるかの試験(溶出試験)の詳細は決められていません。最近はニッケルの価格が高騰していることから、ニッケルをマンガンに変えることで安くしているステンレスもあります。


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一方、インプラントで使われるチタンは、純チタンや「Ti-6AL-4V」というチタン合金が使われています。現存する金属の中で、チタンは最も人間の生体に対する耐アレルギー性が高く、腐食(さび)に耐える性能(耐食性)にも優れています。また、ステンレスに比べて重さは約半分、強度は2倍の強さがあります。しかし、チタン製の歯科インプラントで、アレルギーを起こしたという報告もあることから、「チタンは金属アレルギーを起こしにくい」とは言えても「100%起こさない」とまでは言い切れない状況です。

金属アレルギーと上手に付き合うために
─ 場面別の対処法(歯と金属アレルギー)

歯の詰め物(前装冠・インレー・クラウン・ブリッジ)の際に、保険治療で使われる金属は「歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金」といい、通称「金パラ」と呼ばれる合金です。JIS規格で金12%、パラジウム20%を含むことと決まっているだけで、その他の組成についてはメーカーにより若干違いがあります。主に銀50%前後、銅20%前後、その他インジウムなどが数%含まれているようです。

この金パラに含まれる金属に対して、以前に金属アレルギー反応が出た方は、注意が必要です。溶け出した金属が血液にのって全身に広がり、汗や尿で排泄されます。そのため、手足(の汗腺)に膿が溜まった皮疹が多く現れる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」や、お口の粘膜(歯ぐき、ほおの粘膜、唇など)になかなか治らない白い口内炎ができる「扁平苔癬(へんぺいたいせん)」が現れ、原因となる詰め物を除去することではじめて症状がおさまる、という方もおられます。今までに金属によるアレルギーが出たことある方は、まずどの金属によってアレルギーが起きるのか、皮膚科でパッチテストという検査を受けて、原因金属をはっきりしておくといいでしょう。また、歯科治療では自費治療になりますが、金パラ以外の素材で治療が出来るのか、歯医者さんと相談しておくことも必要でしょう。

金属アレルギーと上手に付き合うために
─ 場面別の対処法(アクセサリーと金属アレルギー)

アクセサリーや化粧品によるアレルギーは、皮膚と長時間接触することによって起きる「接触性皮膚炎」がほとんどです。アクセサリーを外すことで治まりますが、再度身につけた時はより短い時間で、またより強い接触性皮膚炎が出ることがあり、注意が必要です。


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アクセサリーのなかでも、ニッケルによるアレルギーが多くみられます。メッキされたアクセサリーは、メッキ部分にニッケルなど多数の金属が入っており、そのため接触性皮膚炎を起こしやすいと言われています。化粧品にも微量に金属が含まれており、金属アレルギーを引き起こす可能性があります。また、ピアスの穴を開けた時、穴を閉じないように入れる金属にはとくに注意が必要です。溶け出した金属イオンが傷口から体内に簡単に入ってしまい、アレルギーへと繋がるからです。ちなみに、EUではアクセサリーやピアスに含まれるニッケルの含有量について厳しい制限がかけられています。

最近では「サージカルステンレス」という金属で作られたアクセサリーを、よく見かけるようになりました。ステンレスは文字通り錆びにくいことが特徴です。これは、ステンレスに含まれるクロムによって、厚さ1〜3ナノメートルの極めて薄い膜(不動態皮膜)を金属表面に形成し錆が内部に進行することを防いでいることから、優れた耐食性を発揮しています。
サージカルステンレスは、医療器具(メス・ハサミなど)にステンレスが使用されており、その素材をさしているのですが、実際のところJIS規格に「サージカルステンレス」というジャンルはありません。サージカルステンレスには、実際の医療器具で使われているステンレス素材をもとに、いくつかの種類があります。ステンレスに関するJIS規格の中にある「JIS-G-4303 ステンレス鋼棒」のSUS316、SUS316L、SUS316LVM、SUS420J2、SUS431、SUS440、SUS630という名称のステンレスが、サージカルステンレスと呼ばれているようです。このうちSUS316LVMはアメリカやEUの規格にありますが、JIS規格にはありません。
また、SUS316から炭素を減らし、モリブデンを加えることで、さらに耐食性を向上させたものがSUS316Lというステンレスです。これはSUS316でも使用環境(海水、塩水など)によっては、その不動態皮膜の一部が破壊されて、部分的に腐食が進行することがあります。この問題を解決するために、破壊された不動態皮膜を修復する能力を持つモリブデンを加えています。その結果、SUS316Lはより錆びにくく、より溶け出しにくいという性質を持っています。

サージカルステンレスの中で、一番よく使われていのはSUS316Lです。一番腐食しにくいため、「金属アレルギーが現れる可能性はとても低い」「今ある金属の中で、かなり安心して使える」とは言えますが、「金属アレルギーが出ない」とは100%言いきれません。現在まだ解明されていないメカニズムによって、SUS316Lによる金属アレルギーが現れる可能性があるからです。今後、ステンレス、とくにサージカルステンレスであるSUS316Lに対してアレルギーが現れる方が出てくる可能性はあります。

金属アレルギーと上手に付き合うために
─ 場面別の対処法(鍋(調理器具)と金属アレルギー)

わが国の食品衛生法では,金属製の器具・容器包装として用いる金属について,鉛(Pb)が0.1%以下および アンチモン(Sb)が5%未満という規格が定められているだけで、マンガンに関する規格はありません。マンガンを含むステンレスを食品用容器として使用することは可能です。鍋のステンレスに含まれるマンガンが溶け出して食品に混ざる可能性は十分考えられますが、金属アレルギーを起こしたという報告はまだありません。

金属アレルギーと上手に付き合うために
─ 場面別の対処法(食品と金属アレルギー)

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わたしたちの普段の食事にも、金属アレルギーが多数含まれています。主な食品ではピーナッツ・ヘーゼルナッツ・アーモンド・チョコレート・コーヒー・ココア・オートミール・玄米・日本蕎麦・貝類・甘草といった、穀物・豆類・ナッツ類・香辛料に、ニッケル・コバルト・クロムなどが多く含まれています。とくに、それらを加工した食品はさらに金属の含有量が増えます。種実類およびココア・チョコレート等の種実から得られる加工食品、みかん等柑橘類の果実缶詰(スズが缶から溶け出します)、オートミールやコーンフレーク等の水分量が少なく調理済みの穀類・およびきな粉・納豆等の豆類加工品については摂取制限が望ましいとされています。しかも食品中の金属含量は、品種、産地、栽培条件といった環境や分析法によって非常に変動しやすいとされています。なお、水道水中の金属は数μg/L程度ときわめて微量です。

これら金属が口の中に入ると、粘膜、消化管などから吸収され、全身を巡って汗をはじめ尿・涙・乳汁から排出されます。そのため、全身型金属アレルギーの方には、アレルゲンとなる金属との接触を避ける一つの方法として、金属を多く含む食品の制限指導が行われます。とくに卵・牛・乳・小麦等に対する食物アレルギーを合併する場合には、かなりの食品制限が必要となり、栄養素摂取が偏る可能性があります。これら微量の金属も、生体によってはとても重要な働きをしており、ある程度は摂取する必要があります。たとえば血液のヘモグロビンには鉄分が欠かせませんし、亜鉛が不足すると味覚障害を引き起こします。

全身性の金属アレルギーの方は、どの食品をどのくらい制限すべきか、普段の食事でどう気をつければいいのか、栄養士さんと相談するといいでしょう。

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