2015.12.02

パラジウムについて

最近では指輪にも使われる材料としてパラジウムが増えてきました。パラジウムは金属アレルギーを起こしにくいもので、歯科でもよく使われてきました。

例えば、銀歯は現在も金銀パラジウムの合金が一般的です。銀歯と言えば銀だけで作られた歯というイメージがありますが、金属アレルギーを起こす患者の割合が少ない金、銀、パラジウム、銅、亜鉛などを材料としてそれらの合金として使われています。また保険適応の材料として、歯科でのかぶせ物としてふさわしいものです。

仮に歯科でアマルガムを使った合金は保険適応ですが、水銀の割合が多いのでアマルガムが削れてしまうと無機水銀とはいえ、危険性が出てきます。

パッチテストではニッケルやコバルト、鉛などに反応する人が多かったのですが、最近では銀歯の金銀パラジウムのパラジウムに金属アレルギー反応を起こす人が出てきました。といっても、ほんの軽い違和感程度や症状の出ない人も含まれています。アレルギー反応で陽性を示したからといって全てに症状が出るわけでもなく、ほんの少数派なので気にする必要はないかと思います。

また、金銀パラジウムは硬い合金なので、他の歯に影響が出る事もあると言われていますが真偽の方は明らかではありません。よほど神経質な人であれば、他の金属を使うしかありませんが、歯科用金属として保険適応のものはニッケルクロム合金しかありません。そのため、歯医者で保険適応外の材料を使うことになるかもしれません。

自費治療であればアレルギー反応の少ないイリジウムでも何でも使えるという事になりますが、イリジウム合金は加工が難しいかも知れません。近い内に保険適応の歯科用金属が増えれば選択肢も増えてくると思います。

保険適応と自費では選択できる金属が違ってきますが、金属アレルギーが軽度であればそれほど気にする必要はないかと思います。通常、金属アレルギーは接触するとすぐに症状があらわれる即時型と、長い場合では数週間から数年たって症状が出る遅延型があり、症状も自覚がほとんどない軽症から重症まで個人によって異なります。

欧米ではパラジウムの弊害が指摘されているとしても、はっきりとした害があるわけでもなく、反応が過敏すぎるようです。ということで、以前から使われてきた金銀パラジウム合金が最も無難で安全であると言えます。今後の主流も変わらないと思いますが、パラジウムの金属アレルギーがひどい場合は自費で他の金属を選択するしか手段はないかもしれません。